「良い値上げ」と「悪い値上げ」とは?日本経済を苦しめる人手不足に伴う人件費上昇の悪循環
決算シーズンもほぼ終わりましたが、「人手不足」が大きなテーマとなりました。
特に、人手不足の影響を受けやすい小売り(ドラッグストア・コンビニ)や外食産業が人手不足による人件費増で苦しんだ印象です。
筆者は、このテーマに注目しています。なぜなら、改善するどころか人手不足による人件費増は今後加速して悪化していくと感じているからです。今回は人手不足をテーマに書きたいと思います。
目次
押し寄せる、「値上げ」の波には逆らえない?
皆様お馴染みのカレー屋さん、「CoCo壱番」もついに値上げの波に飲み込まれました。
CoCo壱番は3月1日からボークカレー・甘口ボークカレーを値上げする予定で、値上げの理由に「人手不足に伴う人件費増」を挙げています。
地域ごとに販売価格が違うが、東京23区と横浜市、川崎市の場合は484円から505円に21円引き上げる。米などの食材の値上がりや、人手不足に伴う人件費上昇を理由としている。
「コスト上昇は自助努力でカバーできない水準で、やむを得ず価格を改定する」(壱番屋)という。
「ココイチ」の壱番屋、カレー値上げ 人件費上昇などで :日本経済新聞
最近では、2月1日に「1000円カット」でお馴染みのQBハウスも1200円(税込み)に値上げし、個人的に影響を受けました。
更には、2019年4月から「コカ・コーラ」を含む清涼飲料の値上げも予定されています。日本では身近な所で次々と値上げの波が押し寄せているのです。
象徴的だったのは18年末に、コカ・コーラボトラーズジャパンが主力のコカ・コーラを含む清涼飲料を19年4月にも値上げすると伝わったときのことです。
かつて千円札1枚で散髪できたヘアカット専門店「QBハウス」も19年2月1日から通常料金を1080円(税込み)から1200円(同)に引き上げました。
実は相次ぐ「値上げ」 家計防衛へ商品価格を再点検|マネー研究所|NIKKEI STYLE
良い値上げと悪い値上げ?「コストプッシュ型」の値上げとは
値上げには良い値上げと悪い値上げがあります。
では、最近日本で起きている値上げはどちらでしょうか?明らかに悪い値上げである「コストプッシュ型」のケースがほとんどです。
その主な理由として原材料費の上昇と人件費の増加が挙げられます。高需要に牽引される「ディマンドプル型」はかなりレアなのです。
製品・サービスの値上げは大きく2種類にわけて考えることができます。
1つ目が需要が好調な中で値上げする「ディマンドプル型」。例えば、18年に大ブームになった「サバ缶」ですが、マルハニチロは同年9月に値上げに踏み切っています。
2つ目は原材料費が高騰するなかでやむなく値上げする「コストプッシュ型」。17年の鳥貴族のメニュー値上げが有名です。このときは人件費の上昇が理由でした。
相次ぐ企業の値上げ 原因見極め株価への吉凶診断|マネー研究所|NIKKEI STYLE
人件費増で株価暴落?小売り・外食産業の売り材料
1月に吉野家HD(9861)とプレナス(9945)が決算を発表し、予想以上の人件費増で株価が暴落した時に下記の投稿をしました。引き続き人手不足に影響を受けやすい小売りや外食産業の会社の株価は厳しそうです。
人手不足、マイナス銘柄(コンビニ、外食、ドラッグストア、小売り全般):
【コンビニエンスストア(コンビニ)】関連が株式テーマの銘柄一覧 | 株探
人手不足、恩恵銘柄(人材紹介):
業績悪化の背景にあるのは人手不足による人件費の上昇だ。消費が盛り上がらない中で、小売りや外食は賃金上昇によるコスト増を吸収できていない。